2021年最新のDX分析!現状の課題とこれからの改善ポイント
「DX」は、この数年でかなり一般的な言葉になりました。ビジネスマンで聞いたことがないという人は、もはやいないのではないかと思います。
しかし実際のところ、DXに「ちゃんと取り組めている」と自社を評価できる企業は果たして日本中にどれほどあるでしょうか。
今回は最新のDX分析結果をもとに、現状の把握と今後の課題について考えていきましょう。
■そもそもDXとは何か?
デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)とは、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念です。
直訳すると「デジタル変換」という意味になりますが、DXは単にデジタル化を目的としているのではなく、将来の成長・競争力強化のためにデジタル技術を活用し、新たなビジネスやモデルを創出し、柔軟に改変するというニュアンスが込められています。
つまりDXとは、デジタルを使った「変革」であり、紙をデジタルに変化させれば達成できるものではないということです。
2018年に経済産業省から発表されたDXレポートには、2025年のDX完了を目指す旨が記されています。そのためには、足かせとなっている老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムを解決し、業務自体の見直しが求められます。
では現在、DXはどこまで進んでいるでしょうか?
■最新のDX分析とDX推進度は?
「DX 推進指標 自己診断結果 分析レポート」(2020年、IPA、以下 分析レポート)では、2020年までに収集したDX推進指標(DX 推進状況の自己診断ツール)による企業の自己診断結果を分析しています。
集計した全企業の数値の平均を見ると、DX推進のための経営のあり方・仕組みに関する「経営視点指標」、DXの基盤となるITシステムの構築に関する「IT視点指標」ともに、どちらも目標値(3年後に達成を目指す成熟度レベル)より値が低いことがわかります。
項目を見ると、現在値の平均はIT視点指標(1.71)より経営視点指標(1.51)の方が低いことがわかります。
つまり、日本の企業全体として、デジタイゼーション(デジタル化)は進みつつあるものの、デジタライゼーション(ビジネスモデルのデジタル変革)までは至っていないことが読み取れます。
対象企業の平均値をレベルごとに分類した表を見てみると、平均点がレベル3以上であるDX先行企業の割合は8.6%となっており、裏を返せばDXを推進できるレベルに達していない企業は全体の9割程度も存在することがわかります。
また、この分析レポートに回答を行った企業数はわずか350社であり、日本国内で自己診断を実施していない、あるいはそもそもこのDXについての自己診断を認識していない企業が圧倒的多数を占めることを考慮すると、まだまだDXへの取り組みは道半ばであると言えるでしょう。
■IT人材の不足・枯渇 深刻化
分析レポートを詳しく見ていくと、点数の低かった経営視点指標の中でも、特に人材育成や確保、技術を支える人材など、IT人材の不足が深刻であることがわかります。
社内のシステムに詳しくIT技術のある人材、つまり自社内のIT人材社員をまとめて社内のデジタル化推進業務に投入すると、その分他の部門におけるIT人材が枯渇してしまいます。
その結果、他部門における開発スピードが低下することはもちろん、既存システムの維持・保守コストが増大してしまい、新たなIT投資が難しい状況になってしまいます。
この状態に陥ってしまうと、企業全体としてデジタイゼーション(デジタル化)は進んでもデジタライゼーションまで遂行していく体力が保たず、結果的に 紙がPCに置き換わっただけ の状態になってしまう危険があります。
■デジタライゼーション未遂で起こりうる危険
では、なぜ上記の「デジタライゼーション未遂」の状態が危険なのでしょうか?
仮に、デジタイゼーション(デジタル化)ができたとしましょう。そのデジタルデータ・デジタルシステムの運用やメンテナンスは、社内の数少ないIT人材が担うことになるかと存じます。つまり、紙のデータを扱っていた時と同じように、属人化が起こってしまう可能性があるのです。
また、IT人材が都合により他部門へ異動することや、退職してしまうことも考えられるでしょう。すると、データ・システムを運用する役割を担う人がいなくなりブラックボックス化してしまう、ないしは負担を軽減しようとして新たなシステムを既存システムと組み合わせることでシステムの複雑化を招く危険もあるのです。
さらに、デジタイゼーション(デジタル化)後メンテナンスをおざなりにしたデータ・システムはレガシーと呼ばれ、システムの老朽化に対応できず、情報漏洩等セキュリティ面でのインシデントに繋がる恐れもあります。
このような管理体制の弱さを根元から改善し、企業構造を変革しない限り、DXはなしえないどころかかえって危険な状態に陥ってしまうのです。
2021年の今、変化しないで維持できるシステムはありません。
「今のシステムでまだ大丈夫」
「現在のビジネスモデルで当分やっていける」
そうお思いの会社様こそ、今一度自社内のシステムを見直し、ほころびが生じていないか確かめてみてはいただけませんでしょうか。
■今からでも遅くない!DXを成功させるポイント
DXとは、デジタル技術を用いた社会全体のビジネスモデル変革のこと。そのために企業では、現場の担当者のみならず経営陣も一体となって取り組む必要があります。
まずは社内の環境や設備、システムを精査し、特定の人材の能力に頼っている部分や老朽化している部分を洗い出しましょう。
また、DXに一気に取り組もうとしないことも重要です。
大規模な変革は、それ相応の労力を要します。大規模に開発を進めると、老朽化したときのリプレイス・修復作業も甚大になるなど、実はデメリットも大きくなってしまうのです。
ITトレンドの移り変わりは激しいため、アジャイル型の開発に取り組んだ方が新しい技術をより柔軟に取り入れることができます。
こと人材に関して言えば、社員のみで社内システム・業務を賄っていくのは厳しい企業がほとんどかと存じます。IT人材を外部ベンダーからアウトソーシングし、うまく人材を補って社内IT人材を枯渇させないようにするのも一つの手です。
SaaSやパッケージツールも、うまく活用すれば無駄な投資や人材の投入を防ぐことができます。社内で一からツールを作成するより短時間かつ低コストで利用することができるメリットがあり、アップデートをタイムリーに受け取れることも魅力です。
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出典:
「DX 推進指標」とそのガイダンス
産業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進施策について
DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2020年版)
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
DXレポート2(中間取りまとめ)
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2021年8月
ITマネジメント事業部
輿石 裕希